歯がボロボロの方の全顎治療

笠原デンタルオフィス(東京都江戸川区小岩)では、多数の歯の欠損、虫歯の放置、重度の歯周病、あるいは過去の不適切な歯科治療によってお口全体が崩壊してしまった患者さまに対し、お口全体の噛み合わせと構造を根本から再構築する「全顎治療(咬合再構成・全顎的再建)」をご提供しております。
お口の中が崩壊してしまった状態(いわゆるボロボロの状態)から、生涯にわたって安心して食事や会話ができる機能性と審美性を回復させるためには、単に痛む部分や壊れた歯だけをその場しのぎで治療する「部分的な継ぎはぎ治療」では解決できません。
当院では、お口全体の構造と噛み合わせを総合的に再構築する「全顎治療」を行っております。
なぜ「部分的な治療」では解決しないのか(全顎治療の必要性)
全顎治療とは、上下の顎骨の位置関係、咀嚼筋(噛むための筋肉)の運動、歯列全体の高さと連続性、歯周組織の状態を包括的に評価し、お口全体の構造と噛み合わせを一体のものとして総合的に再構築する治療手法です。
1本の歯を単体として見るのではなく、お口全体を「一つの構造物(建造物)」として捉え直し、強固な基礎と正しく噛み合わせの取れたアーチを作り上げます。
崩壊したお口で起きている「悪循環」の力学

お口の中に多数の問題(むし歯、歯根破折、歯周病、不適合な補綴物、歯列の乱れなど)が存在する場合、崩壊した構造全体を総合的に捉え直す必要があります。
歯が1本失われたり、咬合(噛み合わせ)の高さやバランスが崩れたりすると、その隙間や力学的偏りを補うため、周囲の健全な歯に2倍、3倍の過度な負担が集中します。
その結果、残された歯が次々と破折(縦折)を起こしたり、歯周病が加速したり、あるいは被せ物が何度も外れたりという「ドミノ倒しのような連鎖的崩壊」が発生します。
痛む部分や取れた被せ物だけをその都度修復する「局所的な治療(継ぎはぎ処置)」を繰り返しても、全体の噛み合わせのバランスが崩れたままである以上、根本的な解決には至らず、最終的には全ての歯を失うリスクを抱えることになります。
お口が「ボロボロ」になってしまった真の原因
お口の中が著しく崩壊してしまう原因について、「患者さま自身の歯磨き不足や放置」だけが理由であると片付けられるケースが少なくありません。
しかし、実際の臨床において原因を詳細に分析すると、過去の歯科治療の選択や治療アプローチに起因するケースが多数存在します。
保険治療の繰り返しによる構造的崩壊

日本の保険診療制度は、低負担で最低限の機能回復を図る優れた制度ですが、使用できる材料(金属やプラスチック、セメント)および割くことができる診療時間(1回15分〜30分程度)に厳格な制度的制限が存在します。
保険の銀歯や詰め物は経年劣化によりセメントが溶け出し、平均5年〜7年程度で隙間から二次虫歯を発生させます。
「削って詰める」という工程を同じ歯で3回〜4回と繰り返すうちにご自身の歯質は削られ尽くし、最後は神経を抜き、歯根破折を引き起こして抜歯へと至ります。
この短周期のやり直し治療の繰り返しが、数十年をかけてお口全体を壊していく大きな要因となります。
不適切な「セラミック矯正」による咬合の崩壊

近年問題となっているのが、手軽さや短期間での見た目改善を謳った「不適切なセラミック矯正」によるお口の崩壊です。
本来であれば適切な矯正装置を用いて歯列を移動させるべき症例に対し、健康な歯の神経を抜いて歯軸を大きく削り込み、被せ物(セラミック冠)を強引に被せることで見た目だけを整える処置が行われるケースがあります。
歯の軸と噛む力の方向(力学ベクトル)が不整合を起こすため、数年後に根管内の再感染、被せ物の破損、歯根破折が多発し、最終的にお口全体の噛み合わせが完全に壊れて当院にご相談に来られる患者さまが後を絶ちません。
原因の解明なしに同じ間違いを繰り返さないために
お口がボロボロになってしまった背景には、必ず何らかの技術的・力学的・予防的な「原因」が存在します。
当院では、過去の治療履歴や噛み合わせの不均衡を科学的に解明しないまま新たな治療を行うことはいたしません。
原因を正しく突き止め、同じ間違いや失敗を将来二度と繰り返さないための治療設計を立案いたします。
当院における全顎治療の考え方
当院の全顎治療は、すべて自由診療(自費診療)にて行われます。
保険診療で全顎治療が不可能な理由

公的医療保険制度の枠組みにおいては、お口全体を包括的に捉えた高度な精密診査、CTによる三次元解析、マイクロスコープを用いた全歯の精密根管治療、1回1時間以上のゆったりとした診療枠の確保、ならびに生体親和性と力学的耐久性に優れた材料(高強度ジルコニア・セラミック等)の使用が制度上認められていません。
保険診療のルール内で全顎的な再建を行おうとすると、どうしても「その場しのぎの部分処置」の集合体となり、数年後に再び再発・崩壊を引き起こす結果となります。
全顎治療に必要な費用感
崩壊したお口全体の土台(根管)を治療し、骨を再建し、噛み合わせの高さ(咬合高径)を算出して全体に精度の高い被せ物やインプラントを装着する全顎治療(全顎咬合再構成)には、相応の医療資源と高度な技術、そして時間が必要となります。
全顎治療の標準的な費用目安
お口全体の崩壊度合い、残存歯の根管治療本数、欠損補綴(インプラントや高精度義歯)の本数によって異なりますが、お口全体(上下顎)の再建で概ね500万円〜600万円程度(自費診療・税込)の総額費用がかかります。
当院では、費用の安さや一時の見た目だけを追求する医療は一切行いません。
「適正な費用と時間を投資し、将来にわたってやり直しのない強固な口腔環境を手に入れたい」とお考えの患者さまのための専門外来として機能しております。
精密全顎治療を支える専門医チームと先進設備

お口全体の構造を再構築する全顎治療は、一人の歯科医師の感覚や経験則だけで完遂できるほど単純ではありません。
当院では、各専門領域の知見を結集した「チーム医療」と専門設備で対応いたします。
全顎治療に関わるスペシャリストと役割
・日本歯内療法学会 専門医 / 日本顕微鏡歯科学会 指導医(根管治療による基礎工事)
・日本口腔外科学会 専門医(難易度の高い抜歯・嚢胞処置・外科的アプローチ)
・米国ロマリンダ大学 インプラント科出身ドクター(欠損部の骨造設および高精度インプラント埋入)
・矯正担当医(崩壊した歯列・咬合の移動と力学的バランス構築)
・日本歯科麻酔学会 認定医(静脈内鎮静法による無痛・リラックス管理)
・顕微鏡歯科学会 認定衛生士(全期の精密感染管理と術後の維持)
チーム医療による多角的アプローチ

全顎治療においては、「どの歯を根管治療で残し、どの歯を抜歯してインプラント等に置き換えるか」という厳しい判断が求められます。
歯内療法専門医・顕微鏡指導医が根管の保存可能性を算出し、インプラント専門医が骨の再建・置換リスクを評価し、矯正担当医が噛み合わせの力学的バランスを検証します。
複数のスペシャリストが多角的に検証を行うことで、偏りのない客観的な治療計画を導き出します。
精密全顎治療を支える設備

歯科用CBCT
上下顎骨の三次元形態、骨密度、神経・血管の位置関係、根尖病変の広がりをミクロン単位で計測します。
光学系マイクロスコープ2台
全自費工程において拡大下で精密処置を行い、残存歯の根管治療や被せ物の適合精度を高めます。
カリーナシステム
治療前後の口腔内映像を撮影・保存し、患者さまご自身に大型モニターで現状と改善プロセスを視覚的に共有します。
全顎治療の具体的プロセス
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- STEP 1精密診査・総合診断(初診時・1時間枠)
- 初診時はすぐに削ったり抜いたりする処置は行いません。詳細なドクターカウンセリング、パノラマ・CBCT撮影、口腔内写真撮影、およびマイクロスコープによる口腔内精査を行い、お口全体の崩壊原因と現状のデータを網羅的に採取します。
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- STEP 2診断結果の説明と納得(インフォームド・コンセント)
- カリーナシステムで撮影した画像・動画、およびCBCTの三次元データを患者さまにお見せし、現在のお口の状態、なぜ崩壊してしまったのかの理由、残せる歯と残せない歯の厳密な選別、治療全体の期間および費用を提示いたします。
完全にご納得・ご同意(契約)いただいた上で治療を開始します。
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- STEP 3消炎処置・基礎工事(精密根管治療と歯周治療)
- まずは建築でいう「基礎工事」を行います。
残せると判断されたすべての歯に対し、顕微鏡指導医がラバーダム防湿下で精密根管治療を行い、内部の細菌感染を完全に遮断します。
同時に、歯周組織の炎症を取り除き、土台となる歯ぐきと骨の状態を整えます。
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- STEP 4咬合再構成(仮歯によるリハビリ)
- 長年崩壊していたお口では、正しい噛み合わせの高さ(咬合高径)や顎の位置(中心位)がずれてしまっています。
いきなり最終的なセラミック等をセットするのではなく、精度高く作製された「仮歯(プロビジョショナル)」をお口全体に装着し、数か月間にわたって実際に食事や会話をしていただきながら、筋肉や顎関節に負担のかからない最適な噛み合わせ位置をリハビリ・確定させていきます。
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- STEP 5欠損部の再建(インプラントまたは精密補綴)
- 歯を失ってしまっている欠損部位に対しては、米国ロマリンダ大学で研鑽を積んだインプラント担当医や口腔外科専門医が、骨再生誘導術(GBR)などを併用しながら安全性の高いインプラント埋入手術を行います。
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- STEP 6最終補綴物(オールセラミック・ジルコニア等)のセット
- 仮歯でのリハビリによって確定した噛み合わせの位置をそのまま正確に再現し、高強度かつ生体親和性に優れたジルコニアやセラミック等の最終補綴物をマイクロスコープ下でセットします。
ミクロン単位での適合確認を行い、全体の噛み合わせを微細に調整します。
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- STEP 7長期的な予防管理(顕微鏡認定衛生士によるメンテナンス)
- 完成したお口の構造を生涯にわたって維持するため、顕微鏡歯科学会認定衛生士が定期的に拡大視下での精密清掃、バイオフィルム除去、適合確認を行い、二次感染やインプラント周囲炎の発生を未然に防ぎます。
一生涯の機能性と審美性を維持するために

お口の中がボロボロになってしまった患者さまの多くは、「もう元の状態には戻らないのではないか」「人前で口を開けて笑うことができない」「好きなものを安心して噛み切ることができない」という深いお悩みを抱えていらっしゃいます。
しかし、正しく原因を突き止め、学術的根拠に基づいた全顎治療(咬合再構成)を行うことで、健全なお口の機能と美しい口元を取り戻すことは十分に可能です。
目先の応急処置を繰り返さないこと
安さや手軽さ、表面上の見た目だけの治療に飛びつかないこと
確かな技術と設備を持つ専門医療機関で、お口全体を根本から再構築すること
この3つの選択を行うことが、結果として人生の後半におけるお口の悩みを解消し、生涯にわたってご自身の口で美味しく食事をし、健康寿命を延ばすことにつながります。